あと5年で死ぬとして

後腹膜平滑筋肉腫の外科治療後、肝臓に遠隔転移した33歳のつれづれ。

確率の無意味

また眠れない。昼間寝てしまったせい。転移がわかってから、実は夜よく眠れない。それでこのブログを始めたわけだけど。


今日も無駄に自分の病気を調べてしまった。そしてその都度、無駄に知ることになる確率。日本では、2人に1人は癌になるらしい。そのうち自分と同じ後腹膜原発は0.2%、そのうち平滑筋肉腫は8%、完全切除できたひとの5年生存率は53%。局所再発は36〜53%、遠隔転移29%とのこと。今回肝に影とのことなので遠隔転移というやつ。50%のうちの0.2%のうちの8%のうちの29%はさて、約何人に1人でしょうか?

検索すると数はさほど多くないが、いくつか読める資料が出てくる。だいたいで予後不良などと書かれており、総じて5年生存率20〜30%と評される。自分はその多数側な気がしてきてこんなタイトルのブログを書き始めた。頭の中でぐるぐる考えても眠れなくなる一方で、だったら少しでも吐き出してすっきりしたらいいのかな、と。まだ単純CTで肝に影があったことしかわかっていないので、転移かどうかはもう少し先の診断(家族と来てくださいと言われている)まで明らかにならないのだが。

先週今週と造影剤CT、MRI、PET検査というものを体験した。すでにこの三つの検査で五万円かかっている。入っときゃ良かった癌保険とはよく言ったもので医療保険癌保険なんて要らないでしょと思っていたのだった。どんな確率だろうとなるときはなる。ならないときはならない。死ぬときは死ぬ。父が癌になった時に家族全員で入っておくべきだったかもね。


そんなわけでなにも結果が出ていないし、どんなにスマホで調べて考えたってわかりっこないのだが。ネットに上がっている癌センターの親切な説明や学術論文に、自分の病気のことを言葉を変えて何度も説明してもらっている。そして漠然と、このあとするかもしれない肝臓の手術や入院、そのあとに続く検査、再発、化学療法の末の数年先の死を想像している。確率は無意味だとわかっていても、何%かという情報を、何度もさらってしまう。


前回は開腹手術だったのだが。肝は位置や大きさによっては腹腔鏡手術の可能性もあるとのことだった。術後の入院期間は丸2週間だったが、正直、めちゃくちゃ辛かった。実は一人で反芻すると涙が出てしまう。人にはネタとして話せるのだが。時間が経つにつれ細部を忘れ「つらい」という感情だけが残されている。そのために、次の入院がすごく嫌なものだと感じてしまう。つらい、できればしたくない。しなきゃ、そのうちに死ぬんだろうけど。今特別な痛みや自覚症状はなく、既往歴がなければ絶対に気づいていないだろう。それなのに、手術、必要なんですかね?


入院のことを考えると鬱になってしまうのでなるべく考えないようにしよう。どうせ、1週間後の診断までは何を考えても全て無駄なことだ。父が不安な状態ということもあり、夫とにしか肝臓のことは伝えていない。ときに言いたい病を発症するけど、我慢しようね、あと1週間。家族のように、ときには家族以上に、なんでも話せる兄弟のような友がいるのだけど、その子には最初の診断のあとすぐに連絡した。それができるだけでもかなり救われている。


もう3時をすぎているのでいい加減に寝る努力をしようと思う。明日は脱毛(VIO)の予約がある。実は先月から通い始めたのだが。それをしようと思ったのもかなり突然な衝動だった。入院のことを思い出し、もう恥ずかしがることもないしこの先もない方が衛生的にいいだろうと、急に決意したのだった。本能的にまた入院が近いとわかっていたのか?(仮に転移だとしてすぐ手術できるわけでもないと思うが)手術の予約はなかなか取れないものだとよく聞く。

股の毛が多少すっきりした状態なら、すこしは入院生活も快適だろうか。